大分県では、ものづくり分野における「循環経済(サーキュラーエコノミー)」への転換を後押しするため、産業廃棄物の発生抑制・減量化・再生利用に資する設備の導入や研究開発に対して補助金を交付しています。令和8年度は設備導入枠で最大2,000万円、研究開発枠で最大1,500万円まで支援される大型の補助制度です。本記事では、制度の概要・対象経費・申請スケジュール・加点項目までを整理してご紹介します。
- 実施機関
- 大分県 商工観光労働部 産業GX推進室
- 対象地域
- 大分県内に事業所を置く(または設置予定の)中小企業者
- 受付期間
- 令和8年4月1日(水)〜 令和8年5月13日(水)
※事前相談は令和8年5月11日(月)まで必須 - 事業実施期間
- 交付決定日から令和9年3月31日まで
- 補助上限額
- 設備導入枠:最大2,000万円/研究開発枠:最大1,500万円
- 補助率
- 設備導入:通常枠1/2以内、賃上げ枠2/3以内/研究開発:1/2以内
制度の目的と背景
国際的に、市場・社会からの環境配慮要請は急速に高まっており、消費者の購買行動(エシカル消費の拡大)や投資家の投資行動(ESG投資)が大きく変化しています。こうした潮流の中で、事業活動そのものを循環型に転換することは、コスト削減と売上拡大の双方につながる新しいビジネスチャンスとして注目されています。
大分県では、ものづくりの分野において、資源投入量・消費量を抑えつつ付加価値の最大化を図る循環経済への転換を促進する「ものづくり循環経済促進事業」を展開しています。本補助金は、その中核事業として、モノのサイクルのうち「設計・生産・廃棄」の各段階で、産業廃棄物の発生抑制・減量化・再生利用に資する設備導入や研究開発を支援し、収益改善(コスト削減・利益向上)を実現する事業計画を募集するものです。
補助率と上限額
本補助金は、大きく「設備導入枠」と「研究開発枠」の2つで構成されています。さらに設備導入枠は取り組む内容によって上限額が分かれており、賃上げ要件を満たす事業者向けには補助率・上限額が優遇される「賃上げ枠」も用意されています。
◼︎ 設備導入枠
- ① 発生抑制/② 減量化/③ マテリアルリサイクル/④ アップサイクル:通常枠 1/2以内・上限1,500万円、賃上げ枠 2/3以内・上限2,000万円
- ⑤ サーマルリサイクル:通常枠 1/2以内・上限750万円、賃上げ枠 2/3以内・上限1,000万円
◼︎ 研究開発枠
- 上記①〜④に資する研究開発:補助率 1/2以内・上限1,500万円
賃上げ枠の要件は、県への実績報告前の直近1か月分の給与・賃金等の総支給額が、賃上げ前と比較して1.5%以上増加していることとされています。設備投資と人件費の上昇をあわせて進める計画を立てる場合、賃上げ枠の活用を検討する価値は大きいでしょう。
対象となる事業者
補助対象となるのは、大分県内に事業所を置く中小企業者、または県内に事業所を設置しようとする中小企業者(複数事業者の共同実施を含む)です。県内に事業所を置く中小企業者で構成された協同組合等の法人格を有する団体も対象となります。
中小企業者の要件は業種ごとに区分されており、以下のいずれかに該当する必要があります。
- 製造業・その他:資本金3億円以下 または 従業員300人以下
- 卸売業:資本金1億円以下 または 従業員100人以下
- 小売業:資本金5,000万円以下 または 従業員50人以下
- サービス業:資本金5,000万円以下 または 従業員100人以下
- 宿泊業(ホテル・旅館・簡易宿所・下宿):資本金5,000万円以下 または 従業員200人以下
なお、過去に廃棄物処理法や大分県産業廃棄物条例の違反で行政処分を受けており、是正が未完了、または処分後1年を経過していない事業者は対象外となります。また、産業廃棄物処理業者が申請する場合は、別途、循環社会推進課への手続き確認が必要で、令和8年度中に許認可が得られない場合は補助金の交付を受けることができません。
対象経費
補助対象経費は、設備導入枠と研究開発枠で内容が異なります。設備導入枠では、機械装置・工具器具費、施設整備費、委託費、その他の経費が対象となり、機械装置の購入・製造・据付け・改造に要する費用や、稼働に必要不可欠な建築物・構造物の整備に要する最小限度の直接経費などを計上できます。
研究開発枠では、謝金・旅費・事務庁費・原材料費・構築物費・機械装置費・外注加工費・技術指導受入費・直接人件費・委託費・その他の経費と、幅広い項目が補助対象となります。直接人件費は時間給6,000円・年間1,800時間を上限とし、補助対象経費の1/2以内という制限があります。
一方で、以下のような経費・設備は対象外となるため注意が必要です。
- 土地取得費・消費税および地方消費税・振込手数料
- 産業廃棄物の収集運搬・保管の用に供する設備(トラックスケールを含む)
- 産業廃棄物の焼却・埋立処分のための選別・脱水・破砕・圧縮・焼却等の設備
- 水質浄化のみを目的とする排水処理施設
- 汎用的なエネルギー供給設備(ボイラー、発電設備など)
- 医療分野に係る事業(医療行為に付随して発生する廃棄物の処理等を含む)
- 単なる設備導入のみを目的とする事業
申請スケジュールと事前相談
受付期間は令和8年4月1日(水)から令和8年5月13日(水)までです。ただし、応募にあたっては令和8年5月11日(月)までに大分県産業GX推進室への事前相談が必須とされており、事前協議が整ったもの(要件の確認が完了したもの)のみ申請が可能です。スケジュールがタイトなため、検討している事業者は早めに相談予約を入れることをおすすめします。事業実施期間は、交付決定日から令和9年3月31日までの間に完了(検収または供用開始)する必要があります。
審査のポイントと加点項目
審査では、以下の3つの観点から事業計画が評価されます。
- ◼︎ 事業実施の確実性:実施体制、採算性、実現可能性、実施スケジュール、資金調達計画が明確であるか
- ◼︎ 産業廃棄物の削減効果および収益性改善の効果:発生抑制・減量化・再生利用の効果と、コスト削減・利益向上の具体的な数値目標と根拠
- ◼︎ 事業の先導性または地域への波及効果:技術の先導性、地域課題解決、地域資源の活用、他社への普及可能性など
また、以下のいずれかに該当する事業者は、審査において加点の対象となります。
- 中小企業等経営強化法に基づく「経営革新計画」の承認を受け、計画期間中にある事業者
- 経営層および直接部門の管理者等が「令和7年度大分県ものづくり循環経済促進セミナー」を受講している事業者
- 「パートナーシップ構築宣言」を行い、ポータルサイトで宣言が公開されている事業者
- 「事業継続力強化計画」の認定を取得し、中小企業庁のホームページに公表されている事業者
- 「おおいたグリーン事業者認証制度」の認証を受け、認証期間中にある事業者
活用にあたっての注意点
本補助金は、単なる設備の更新・増設を目的とした導入は原則として対象になりません。発生抑制事業であれば従来の廃棄物発生量がゼロになる場合、減量化・リサイクル事業であれば大幅な向上が見込まれる場合など、明確な削減効果が求められます。リサイクル事業では、対象となる産業廃棄物等の県内排出量が80%以上であることも条件となります。
また、過去に本補助金の交付を受けたことのある事業者については、二次選考に進めない可能性がある点にも留意が必要です。事業計画を立てる際は、単に設備を入れ替えるのではなく、削減効果・収益改善・地域への波及効果を定量的に示せる内容に仕上げることが重要となります。
J-Net21 掲載ページ:https://j-net21.smrj.go.jp/snavi2/articles/179910
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