東京都で公募されている「令和8年度 事業承継支援助成金」についてご紹介します。東京都内の中小企業者(会社及び個人事業者)又は都内での創業を具体的に計画している創業予定者を対象に、事業承継(第三者承継・親族内/従業員承継・譲受支援)や事業承継に向けた経営改善に取り組む際に活用する外部専門家への委託費用の一部を助成する制度です。助成対象事業はA(後継者未定・M&A等)、B(親族内又は従業員承継)、C(企業継続支援)、D(譲受支援)の4区分に分かれ、いずれか一つを選択して申請します。助成限度額は200万円(申請下限額20万円)、助成率は原則対象経費の3分の2以内ですが、小規模企業者がA・B・Dタイプのうち企業価値や事業価値の算定に取り組む経費は10分の10以内となります。申請は年3回の受付期間が設けられ、電子申請システム「Jグランツ」でのみ受け付けます。申請前には支援実績に応じて「申請前面談」又は「現地診断」の受診が必要です。本記事では、制度の概要・申請スケジュール・情報源を整理してお届けします。詳細は必ず公式ページでご確認ください。
- 実施機関
- 公益財団法人東京都中小企業振興公社
- 対象地域
- 東京都
- 受付期間
- 2026-06-01〜2026-12-15
- 事業実施期間
- 助成対象期間は交付決定日から8か月後の末日まで。交付決定日は第1回:令和8年10月1日、第2回:令和8年12月1日、第3回:令和9年3月1日。例えば第1回採択の場合、令和8年10月1日から令和9年5月31日までの8か月間が助成対象期間となり、この期間内に委託契約・事業実施・納品・支出まで全て完了する必要がある。事業完了後15日以内に実績報告を行う必要がある。
- 補助上限額
- 200万円
- 補助率
- 助成対象として認められる経費の3分の2以内。ただし、小規模企業者が、Aタイプ、Bタイプ、Dタイプのうち「企業価値や事業価値の算定」に取り組む経費は10分の10以内
制度の目的と背景
この助成金は、都内の中小企業者又は都内での創業を具体的に計画している者(創業予定の個人)が、次の各号の支援を受けて、事業承継又は経営改善を実施する過程において活用する外部の専門家等に委託して行う取組に対し、その経費の一部を助成することにより、都内中小企業の持続的な成長、発展に向けた新たな事業展開に寄与し、もって円滑な事業承継、再生につなげていくことを目的としています。①公益財団法人東京都中小企業振興公社(以下「公社」という。)が行う「事業承継・再生支援事業」②東京商工会議所、町田商工会議所及び東京都商工会連合会等が行う「地域持続化支援事業」③一般社団法人東京都信用金庫協会及び一般社団法人東京都信用組合協会が行った「地域金融機関による事業承継促進事業」又は同協会が行う「地域金融機関による事業承継ネットワーク構築支援事業」④東京信用保証協会が行う「専門家派遣事業」⑤東京都中小企業団体中央会が行った「団体向け事業承継促進支援事業」又は同会が行う「中小企業新戦略・事業承継支援事業(団体向け)」
補助率と上限額
本補助金の補助率・上限額は以下のとおりです。詳細は公募要領をご確認ください。
◼︎ 補助率
助成対象として認められる経費の3分の2以内。ただし、小規模企業者が、Aタイプ、Bタイプ、Dタイプのうち「企業価値や事業価値の算定」に取り組む経費は10分の10以内
◼︎ 補助上限額
200万円
◼︎ 内訳・支援枠
【Aタイプ(後継者未定)】第三者への事業承継(M&A等)に向けた取組(譲渡側のみ対象):企業価値・事業価値算定費用、後継者候補確保のための人材紹介会社サービス利用費、FA・M&A仲介業者等との契約締結費用(初期費用・中間金・成功報酬等、委託先はM&A支援機関登録制度の登録機関に限る)。助成率2/3(企業価値等算定は小規模企業者なら10/10)。【Bタイプ(親族内又は従業員承継)】事業承継計画書の作成が必要:企業価値・事業価値算定費用、株式譲渡・相続手続き等の外部専門家委託費、中核人材確保・育成のための人材紹介・研修費用。助成率2/3(企業価値等算定は小規模企業者なら10/10)。【Cタイプ(企業継続支援)】令和7年度の「企業継続支援」を受けた事業者が対象:中核人材確保・育成費用、社内経営管理システム構築費用、組織・人事等内部管理体制整備費用、市場調査委託費、HP・パンフレット作成等販路開拓費用。助成率2/3。【Dタイプ(譲受支援)】事業又は株式の譲受のための取組:デューデリジェンス費用、契約書作成・レビュー費用、PMI計画策定費用。助成率2/3(企業価値等算定は小規模企業者なら10/10)。各タイプとも助成限度額200万円、申請下限額20万円。
対象となる事業者
本補助金の対象となる事業者は以下のとおりです。
- 都内の中小企業者(会社及び個人事業者)で大企業が実質的に経営に参画していないもの。業種区分ごとに資本金・従業員数の基準あり:製造業(ソフトウェア業・情報処理サービス業含む)・その他業種は資本金3億円以下又は従業員300人以下、ゴム製品製造業(一部除く)は資本金3億円以下又は従業員900人以下、卸売業は資本金1億円以下又は従業員100人以下、サービス業(旅館業除く)は資本金5千万円以下又は従業員100人以下、旅館業は資本金5千万円以下又は従業員200人以下、小売業は資本金5千万円以下又は従業員50人以下
- 小規模企業者(助成率10/10の対象):製造業・その他は常時使用従業員20人以下、商業(卸売・小売)・サービス業は常時使用従業員5人以下
- 法人の場合:都内に登記簿上の本店又は支店があり、申請時に登記簿謄本(履歴事項全部証明書)を提出できること、引き続き2年以上都内で実質的に事業を行っていること
- 個人事業者の場合:税務署に提出済みの開業・廃業等届出書の写しにより納税地・主たる事業所等の都内所在等が確認できること、引き続き2年以上都内で実質的に事業を行っていること
- 創業後2年未満の法人・個人事業者(創業予定者含む、Dタイプのみ適用):申請時点で公社の「TOKYO版創業・承継マッチング支援事業」を利用していること、創業予定者は交付決定後速やかに開業し都内所在等が確認できること
- A・Bタイプ:基準日の前年同日から申請日前日までに公社又は指定の公的支援機関(地域持続化支援事業、地域金融機関事業承継促進事業、専門家派遣事業、団体向け事業承継促進支援事業等)の支援を受けていること、今後10年以内に事業承継を予定していること(基準日時点で代表権未承継であること)、M&Aの着手・実施は中小企業庁「中小M&Aガイドライン」に則ること
- Cタイプ:令和7年度(令和7年4月1日~令和8年3月31日)に公社が行う「企業継続支援」を受けていること
- Dタイプ:各回の現地診断実施期間に公社の現地診断を受けられること、経営資源の譲受(株式取引・持分取引・吸収合併・事業譲受等)であり業務提携や物品売買、親族間承継等は対象外、基準日時点で承継未了であること、助成対象期間内に事業再編・事業統合等が着手・実施される予定であること、シナジーを活かした生産性向上及び地域経済牽引が見込まれること
- 助成事業の実施場所として自社の事業所・工場等を有し、原則として都内であること
- 同一テーマ・内容・経費で公社、国、都道府県又は区市町村等から助成を受けていないこと(過去含む)
- 事業区分(A~Dタイプ)は一申請で一区分に限ること
- 税金等を滞納(分納)していないこと、都及び公社に対する債務の支払いが滞っていないこと
- 申請日までの過去5年間に助成事業等に関して不正等の事故を起こしていないこと
- 過去に公社から助成金交付を受けた者は報告書類を期日までに提出していること
- 民事再生法又は会社更生法による申立て等、事業継続性に不確実な状況がないこと
- 暴力団関係者、風俗関連業、ギャンブル業、連鎖販売取引等の不適切業態に該当しないこと
対象経費
補助対象となる経費は以下のとおりです。
- 【Aタイプ】自社株式の評価、財務・税務・法務・労務等のセルフ・デューデリジェンスなど企業価値や事業価値の算定のための業務委託経費
- 【Aタイプ】後継者候補の確保に向けた人材紹介会社のサービス利用経費
- 【Aタイプ】ファイナンシャルアドバイザー(FA)、M&A仲介業者等との契約締結に要する経費(初期費用、中間金、成功報酬等が対象。委託先はM&A支援機関登録制度の登録機関に限る。短期支援を受けている場合のみ申請可能)
- 【Bタイプ】自社株式の評価、財務・税務・法務・労務等のセルフ・デューデリジェンスなど企業価値や事業価値の算定のための業務委託経費
- 【Bタイプ】株式譲渡、相続手続き等に要する外部専門家への業務委託経費(法人版事業承継税制特例措置関連の場合は成果物受領・支払いまで助成対象期間内完了が必要)
- 【Bタイプ】将来の経営を担う中核人材(幹部社員)を確保・育成するための人材紹介会社等のサービス利用や研修の業務委託経費(採用時に課長級以上の社員が目安)
- 【Cタイプ】中核人材(幹部社員)確保・育成のための人材紹介会社等サービス利用や研修の業務委託経費
- 【Cタイプ】社内経営管理システム(生産管理・営業管理・財務会計システム等)構築に向けた外部専門家への業務委託や外部事業者へのシステム開発委託経費
- 【Cタイプ】組織、人事等内部管理体制の整備のための業務委託経費
- 【Cタイプ】新市場開拓のための調査会社への市場調査委託経費
- 【Cタイプ】新市場開拓や新たな販路開拓に向けたHP・パンフレット等の作成や更新のための業務委託経費
- 【Dタイプ】財務・税務・法務・労務等のデューデリジェンスなど企業価値や事業価値の算定のための業務委託経費
- 【Dタイプ】契約書の作成やレビューのための業務委託経費
- 【Dタイプ】事業統合(PMI)計画の策定のための業務委託経費
- 経費要件:助成対象事業として決定を受けた事業実施のための経費であること、助成対象期間内に契約・履行・支払が完了していること、使途・単価・規模等が見積書等で確認でき本助成事業に係るものとして明確に区分できること、財産取得の場合は所有権(ソフトウェアは著作権)が申請者に帰属すること
申請スケジュール
受付期間は2026-06-01から2026-12-15までです。事業実施期間は助成対象期間は交付決定日から8か月後の末日まで。交付決定日は第1回:令和8年10月1日、第2回:令和8年12月1日、第3回:令和9年3月1日。例えば第1回採択の場合、令和8年10月1日から令和9年5月31日までの8か月間が助成対象期間となり、この期間内に委託契約・事業実施・納品・支出まで全て完了する必要がある。事業完了後15日以内に実績報告を行う必要がある。です。スケジュールは変更される場合があるため、必ず公式ページの最新情報をご確認ください。
審査のポイント
審査では以下の観点から事業計画が評価されます。
- ◼︎ 取組の妥当性:申請事業を実施することにより経営改善、事業承継等の課題の改善につながる効果があるかを審査します。具体的には、申請者が抱える事業承継上の課題(後継者不在、親族内承継、譲受によるM&A等)に対して、委託する専門家の業務内容が適切に対応しているかが確認されます。委託業務の成果物が実際に事業承継や経営改善の実現にどのように寄与するかという論理的な整合性も評価対象です。
- ◼︎ 取組計画の実現可能性:申請事業の計画における実施体制、資金計画、スケジュール等に問題がないかを審査します。助成対象期間(最長8か月)内に委託契約・事業実施・納品・支出までを完了できる現実的なスケジュールになっているかが重要視されます。見積書に記載された業務内容・工数・単価が妥当であり、実行可能な体制が整っているかも確認されます。
- ◼︎ 必要性(要件適合等):主に公的な支援等という視点から支援の必要性があるかを審査します。申請要件(基準日時点の中小企業者該当性、支援実績の有無、事業承継計画書の作成状況等)を満たしているかが厳格に確認されます。公的資金を投入するにふさわしい事業承継・経営改善の緊急性や社会的意義があるかも評価されます。
活用にあたっての注意点
- 申請は電子申請システム「Jグランツ」でのみ受付。持参、郵便、電子メール等での提出は不可。
- Jグランツ利用には事前に「GビズIDプライム」アカウントの発行が必要で、国の審査に期間を要するため余裕を持って準備する必要がある。
- 申請内容により「申請前面談」又は「現地診断」が必要であり、締切間際は面談が混み合うため早めの申込みが必要。
- 助成事業の実施は交付決定日以降となり、交付決定日より前に契約・発注等を行ったものは助成対象外となる。
- マイナンバーが記載された書類は受領不可。確定申告書や開業届等でマイナンバーが記載されている場合は黒塗り等のマスキング処理が必要。
- 提出書類は指定のファイル名で提出する必要があり、Jグランツへのアップロードは1ファイルあたり16MBまで。
- 見積書は1件30万円(税込)以上の場合、委託業務の明細・納品予定(成果)物・具体的な業務内容が確認できるものが必要(「一式」表示は不可)。
- 審査の結果、助成金交付予定額は申請額から減額となる場合がある。交付決定は交付・交付金額を確約するものではない。
- 経費区分を当初の金額から20%を超えて増額する場合や新たな経費区分を計上する場合、委託・外注先の変更等は事前の承認申請及び公社の承認が必要。
- 関係書類・帳簿類は助成事業完了年度の翌年度から起算して5年間保存が必要。
- 偽り・不正の手段による助成金受給、他用途への使用、虚偽申請等が判明した場合は交付決定の取消し及び返還命令、不正内容の公表が行われる可能性がある。
- 過去に公社助成金交付を受けた者で報告書類に未提出がある場合、報告期間満了の翌年度3月31日まで本助成事業への申請はできない。
- Aタイプで第三者承継(FA・M&A仲介業者活用)に取り組む場合は公社の「短期支援」を受けている必要があり、一企業当たり一回のみ申請可能。
- Dタイプでは業務提携等の経営権移転を伴わない取引、親族間承継、資産保有型会社・資産運用型会社に関する取引等は対象外となる。
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