Friday, September 05, 2025
65歳超雇用推進助成金
65歳超雇用推進助成金を獲得するための全ステップ
目的・背景
65歳超雇用推進助成金は、日本の社会が直面する「人生100年時代」という大きな変化に対応し、意欲ある高年齢者が年齢にかかわらず活躍し続けられる「生涯現役社会」の実現を後押しするために設計された、国の重要な支援策です。
少子高齢化が加速する中、労働力人口の確保は日本経済全体の喫緊の課題となっています。豊富な知識、技術、経験を持つ高年齢者の労働力は、企業にとって、そして社会にとって、かけがえのない貴重な財産です。この助成金は、事業主がこうした高年齢者の雇用を積極的に推進し、彼らが持つ能力を最大限に発揮できる職場環境を整備するための具体的な取り組みを、経済的な側面から力強くサポートすることを目的としています。
具体的には、65歳以降の定年引上げや継続雇用制度の導入、高年齢者のための新たな人事評価制度や健康管理制度の整備、さらには有期契約で働く高年齢者を安定した無期雇用へと転換するといった、多角的な取り組みが助成の対象となります。これにより、高年齢者の雇用の安定と促進を図ると同時に、事業主にとっても人材確保や技術承継といった経営課題の解決に繋がる、「労使双方にメリットのある」好循環を生み出すことを目指しています。
対象者
65歳超雇用推進助成金は、高年齢者の雇用促進に意欲的に取り組む事業主を幅広く支援する制度です。対象となるのは、原則として雇用保険の適用事業主であることが大前提となります。
この助成金は、事業主が実施する具体的な取り組み内容に応じて、以下の3つのコースに分かれており、それぞれのコースで対象となる事業主の条件が定められています。
I. 65歳超継続雇用促進コース:
65歳以上への定年引上げや、希望者全員を対象とする66歳以上の継続雇用制度などを導入する事業主が対象です。
II. 高年齢者評価制度等雇用管理改善コース:
高年齢者の能力を正しく評価する仕組みや、働きやすい環境を整えるための各種制度(短時間勤務、在宅勤務、研修、健康管理など)を新たに導入・改善する事業主が対象です。
III. 高年齢者無期雇用転換コース:
50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を、無期雇用の労働者へと転換させる制度を導入し、実際に転換させた事業主が対象です。
これらのコースに共通する基本的な要件として、労働関係法令を遵守していることや、過去に助成金の不正受給がないことなどが求められます。事業主は自社が抱える課題や目指す方向性に応じて、最適なコースを選択し、そのコースで定められた要件を満たすことで助成金の支給対象となります。
対象にするために(各コースの詳細解説)
この助成金を受給するためには、3つのコースの中から自社の取り組みに合ったものを選択し、それぞれのコースで定められた要件を正確にクリアする必要があります。以下に各コースの具体的な取り組み内容、支給額、主な要件を解説します。
I. 65歳超継続雇用促進コース
高年齢者がより長く働けるための枠組みを制度として導入する事業主を支援します。
対象となる取り組み:
A. 65歳以上への定年引上げ
B. 定年の定めの廃止
C. 希望者全員を対象とする66歳以上への継続雇用制度の導入
D. 他社による継続雇用制度の導入(グループ企業外の他社で継続雇用する制度)
支給額:
措置の内容(定年を何歳引き上げたか等)と、事業所の60歳以上被保険者数に応じて、10万円から最大160万円が支給されます。例えば、60歳以上被保険者数が10人以上の事業所で定年を70歳に引き上げた場合、105万円が支給されます。
主な支給要件:
就業規則等の整備: 導入する制度を労働協約または就業規則に明記し、整備すること。
専門家への経費支出: 制度の規定にあたり、社会保険労務士などの専門家に就業規則の作成や相談を依頼し、その経費を支払っていること。
高年齢者雇用等推進者の選任など、雇用管理に関する措置を1つ以上実施していること。
II. 高年齢者評価制度等雇用管理改善コース
高年齢者が意欲と能力を発揮できるような雇用管理制度を整備する事業主を支援します。
対象となる取り組み(いずれか1つ以上実施):
高年齢者の職業能力を評価する仕組みと賃金・人事処遇制度の導入・改善
希望に応じた短時間勤務・隔日勤務制度の導入・改善
在宅勤務制度の導入・改善
能力開発のための研修制度の導入・改善
専門職制度など、適切な役割を付与する制度の導入・改善
法定外の健康管理制度(人間ドック、生活習慣病予防検診など)の導入
支給額:
制度の導入等に要した対象経費の額に助成率を乗じた額が支給されます。
助成率: 中小企業 60% / 中小企業以外 45%
支給上限: 初回申請は経費50万円とみなし、最大30万円(中小企業の場合)を支給。2回目以降は、実際に要した経費(上限50万円)に助成率を乗じた額となります。
主な支給要件:
計画の事前認定: 「雇用管理整備計画書」を事前に機構(JEED)に提出し、認定を受けること。
対象者の継続雇用: 制度の適用を受けた60歳以上の被保険者が、計画終了後も6か月以上継続して雇用されていること。
経費の支払い: 制度の実施に要した経費を、支給申請日までに支払っていること。
III. 高年齢者無期雇用転換コース
不安定な立場の有期契約の高年齢者を、安定した無期雇用へ転換する事業主を支援します。
対象となる取り組み:
50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を、無期雇用労働者に転換すること。
支給額:
対象労働者1人あたり、中小企業は30万円、中小企業以外は23万円が支給されます。(1事業所あたりの年間上限は10人まで)
主な支給要件:
制度の規定: 無期雇用への転換制度を就業規則等に規定していること。
対象者: 転換日において64歳未満であること。通算契約期間が5年以内の者に限ります。
継続雇用と賃金支払: 転換後6か月以上継続して雇用し、その間の賃金を支払っていること。(勤務日数が11日未満の月は除く)
必要書類
65歳超雇用推進助成金の申請には、各コースの要件を証明するための書類を正確に揃えることが重要です。コースによって必要な書類は異なりますが、主に「計画の申請段階」と「支給の申請段階」でそれぞれ書類提出が必要となります。
I. 65歳超継続雇用促進コース
支給申請時に必要な書類:
支給申請書
変更前と変更後の就業規則または労働協約(写し)
専門家への経費の支払いを証明する書類(領収書等)
60歳以上の雇用保険被保険者数がわかる書類(労働者名簿等)
II. 高年齢者評価制度等雇用管理改善コース
計画申請時に必要な書類:
雇用管理整備計画書
支給申請時に必要な書類:
支給申請書
計画に基づき措置を実施したこと、及びその運用状況がわかる書類(就業規則、研修資料、対象者のリスト等)
対象経費の支払いを証明する書類(契約書、領収書等)
対象労働者の継続雇用を証明する書類(出勤簿、賃金台帳等)
III. 高年齢者無期雇用転換コース
計画申請時に必要な書類:
無期雇用転換計画書
支給申請時に必要な書類:
支給申請書
無期雇用転換制度を規定した就業規則または労働協約(写し)
転換前後の雇用契約書(写し)
転換後6か月分の賃金台帳および出勤簿(写し)
これらは主な書類であり、詳細は申請先の機構(JEED)都道府県支部にご確認ください。令和7年4月1日から電子申請も利用可能となっており、e-Gov(イーガブ)からの申請も便利です。
必要手続き(申請の流れ)
助成金を受給するための手続きは、コースごとに異なります。特に、事前の計画申請が必要なコースと、実施後の申請のみでよいコースがあるため注意が必要です。
I. 65歳超継続雇用促進コース
このコースは、事前の計画申請は不要です。制度を導入・実施した後に申請を行います。
制度の導入・実施: 就業規則等を改定し、定年引上げ等の措置を実施します。
支給申請: 措置の実施日が属する月の翌月から起算して4か月以内の定められた期間に、必要書類を揃えて機構(JEED)都道府県支部に支給申請します。
II. 高年齢者評価制度等雇用管理改善コース
このコースは、事前の計画認定が必要です。
計画の申請・認定: 「雇用管理整備計画書」を、計画を開始する3か月前の日までに機構(JEED)に提出し、認定を受けます。
措置の実施: 認定された計画に基づき、1年以内に雇用管理制度の整備等を実施します。
支給申請: 計画期間が終了した日の翌日から6か月を経過した日から2か月以内に、機構(JEED)に支給申請します。
III. 高年齢者無期雇用転換コース
このコースも、事前の計画認定が必要です。
計画の申請・認定: 「無期雇用転換計画書」を、計画を開始する3か月前の日までに機構(JEED)に提出し、認定を受けます。
無期雇用への転換: 計画に基づき、対象となる有期契約労働者を無期雇用に転換します。
継続雇用と賃金支払: 転換後、対象者を6か月間継続して雇用し、賃金を支払います。
支給申請: 転換後6か月分の賃金を支払った日の翌日から起算して2か月以内に、機構(JEED)に支給申請します。
申請先はすべて(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)の各都道府県支部となります。申請期間が厳密に定められているため、スケジュール管理が非常に重要です。
まとめ
65歳超雇用推進助成金は、深刻化する人手不足への対応と、経験豊かな高年齢者の活躍促進という、現代日本の重要課題に取り組む事業主を支援する、非常に意義深い制度です。3つの多様なコースが用意されており、自社の状況や目的に合わせて最適な支援を選択できる点が大きな魅力です。
この助成金を活用する上で、以下の共通した留意点を押さえておくことが成功の鍵となります。
電子申請の活用: 令和7年4月1日から電子申請(e-Gov)が開始され、手続きの利便性が向上しています。
法令遵守: 高年齢者雇用安定法に定められた雇用確保措置を遵守していることが、すべてのコースの前提条件となります。
期限の厳守: 各コースで定められた計画申請や支給申請の期限は非常に厳格です。1日でも遅れると受理されないため、徹底したスケジュール管理が必要です。
不正受給への厳しい対応: 万が一、不正受給が発覚した場合は、助成金の返還はもちろん、事業主名の公表や刑事告発といった厳しい措置が取られます。
書類の保管義務: 申請に用いた書類は、支給決定日から5年間保管する義務があります。
高年齢者の雇用は、もはや単なる社会貢献活動ではなく、企業の持続的な成長に不可欠な経営戦略です。この助成金は、その戦略を実行に移すための強力な追い風となります。手続きが複雑に感じる場合は、社会保険労務士などの専門家に相談し、アドバイスを受けながら進めることも有効な手段です。ぜひこの制度を最大限に活用し、企業の発展と、高年齢者が輝き続ける社会の実現に繋げてください。
補助金・助成金に関するよくある質問
この補助金を自社で使えるか確認するにはどうすればよいですか?
補助金には「対象事業者」「対象経費」「補助率・上限額」「公募期間」という4つの基本条件があります。まず対象事業者要件(業種・従業員数・資本金など)を確認し、次に自社で予定している投資や経費が対象経費に該当するかを公募要領でチェックしてください。判断に迷う場合は、認定経営革新等支援機関や補助金申請の実務経験がある行政書士・税理士への相談が確実です。
補助金の申請にはどのような書類が必要ですか?
一般的には「事業計画書」「見積書(相見積もりが必要な場合あり)」「登記簿謄本(法人の場合)」「直近2期分の決算書」「経費明細書」「納税証明書」などが必要です。補助金ごとに追加書類が指定されるため、必ず最新の公募要領で確認してください。GビズIDプライムが事前に必要な電子申請の補助金も増えています。
補助金の申請から入金までどれくらいかかりますか?
標準的には、申請から採択発表まで1〜3ヶ月、採択後の交付決定・事業実施・実績報告・確定検査を経て入金まで、全体で6ヶ月〜1年程度かかるのが一般的です。補助金は原則「後払い(精算払い)」のため、事業実施中の資金繰りも事前に計画しておく必要があります。
採択率を上げるために最も重要なポイントは何ですか?
(1) 公募要領を隅々まで読み込み加点要素を漏らさない、(2) 事業計画の数値目標を具体的に書く(売上・生産性・雇用など)、(3) 補助事業の必要性・効果を経営課題と結びつけて論理的に説明する、(4) 早めに準備を始めて推敲する時間を確保する、(5) 認定経営革新等支援機関や補助金専門家のチェックを受ける。この5点が採択率を大きく左右します。
申請が不採択だった場合、再申請はできますか?
多くの補助金は同一年度内・翌年度でも再申請が可能です。不採択通知には通常、不採択理由の概要が示されているので、その点を重点的に修正して次回公募に再チャレンジしましょう。特に事業計画の論理性・数値目標の具体性・加点項目の取得は、改善により採択につながることが多い要素です。
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