補助金解説記事 / 補助金コンサルタント監修

トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)を獲得するための全ステップ

詳細解説 実務家監修

目的・背景

トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)は、職業経験、技能、知識の不足などの理由で安定した就職が困難な求職者の雇用機会を創出することを目的とした制度です。 [8] 事業主が対象となる求職者を、原則として3か月間の有期雇用(トライアル雇用)で試行的に雇用することにより、その後の常用雇用への移行を支援します。 [2, 8] この制度を活用することで、事業主は求職者の適性や業務遂行能力を実際に見極めた上で常用雇用へ移行できるため、採用後のミスマッチを防ぎ、人材の確保と職場定着が期待できます。 [2, 10] 求職者にとっては、経験やスキルに自信がなくても、働きながら企業との相性を確認できる貴重な機会となります。採用コストを抑えつつ、意欲ある人材を発掘・育成したい事業主にとって、非常に有効な支援策と言えるでしょう。

対象者

この助成金の対象となるのは、ハローワーク等に求職申込を行い、トライアル雇用を希望する方のうち、以下のいずれかの条件に該当する方です。これらの条件は、安定的な就労への移行に何らかの課題を抱えていることを客観的に示す指標となっています。

紹介日の前日から過去2年以内に、2回以上離職や転職を繰り返している方:短期間での離職・転職は、職場への定着に課題がある可能性を示唆するため、試行的な雇用を通じて相互理解を深めることが有効です。

紹介日の前日時点で、離職している期間が1年を超えている方:長期間のブランクは、就労への不安やスキルの陳腐化につながる可能性があります。トライアル雇用は、職場復帰へのスムーズなステップとなります。

妊娠、出産・育児を理由に離職し、紹介日の前日時点で、安定した職業に就いていない期間が1年を超えている方:子育て等でキャリアが中断した方が、再び安定した雇用に戻るための支援を目的としています。

ハローワーク等で担当者制による個別支援を受けている方:(令和7年4月1日以降の改正により、年齢要件が60歳未満に拡充)ハローワーク等が特に重点的な支援が必要と判断した方が対象となります。

就職の援助を行うに当たって、特別な配慮を要する方:生活保護受給者、母子家庭の母等、父子家庭の父、日雇労働者、季節労働者、中国残留邦人等永住帰国者、ホームレス、住居喪失不安定就労者、生活困窮者などが含まれます。

<対象とならない方>

一方で、紹介日時点で以下のいずれかに該当する方は、原則としてトライアル雇用の対象とはなりませんのでご注意ください。 [6]

安定した職業に就いている方:期間の定めのない労働契約を結び、通常の労働者と同程度の週所定労働時間で勤務している方は対象外です。

自ら事業を営んでいる、または法人の役員に就いている方:週間の実働時間が30時間以上の方は対象となりません。

学校に在籍中の方:ただし、卒業年度の1月1日以降で、卒業後の就職が内定していない場合は対象となることがあります。

他の事業所でトライアル雇用期間中の方:トライアル雇用は同時に複数の事業所で受けることはできません。

対象にするために

事業主が本助成金の支給対象となるためには、求職者を紹介してもらう前から適切な準備と手順を踏む必要があります。最も重要なのは、ハローワーク、地方運輸局、または厚生労働省が認可した職業紹介事業者に、あらかじめ「トライアル雇用求人」を提出しておくことです。 [5] 一般の求人として募集し、採用した後にトライアル雇用へ切り替えることはできません。必ず、ハローワーク等からの紹介を通じて対象労働者を雇い入れる必要があります。

<事業主が満たすべき主な要件>

雇用保険の適用事業所であること:労働者を一人でも雇用する事業所は、原則として雇用保険の適用事業所となる手続きが必要です。

トライアル雇用求人をハローワーク等に提出していること:求人票には、トライアル雇用を希望する旨を明記する必要があります。 [3]

ハローワーク等の紹介により対象者を雇い入れること:自己応募や他の求人媒体からの応募者は対象外です。

原則3か月の有期雇用契約を締結すること:常用雇用への移行を前提とした試行期間として、期間の定めのある雇用契約を結びます。

労働関係法令を遵守していること:過去に労働保険料の滞納や、重大な労働法違反がないことなどが求められます。

これらの要件をクリアし、制度の趣旨を理解した上で、積極的に「トライアル雇用求人」を提出し、ハローワーク等と連携することが助成金活用の第一歩となります。

必要書類

トライアル雇用助成金の申請には、雇入れ後の計画段階と、雇用期間終了後の申請段階でそれぞれ書類の提出が必要です。提出期限が厳格に定められているため、計画的に準備を進めることが重要です。ご提示いただいた「トライアル雇用実施要領」に基づき、提出書類は以下の通りです。

<トライアル雇用開始後に提出する書類>

以下の書類を、対象者を雇い入れた日から2週間以内に、紹介を受けたハローワーク等に提出します。 [4]

トライアル雇用実施計画書(共通様式第1号):トライアル雇用期間中の業務内容や指導体制、常用雇用への移行要件などを記載します。対象者本人と内容を十分にすり合わせ、同意を得て作成する必要があります。 [6]

労働条件が確認できる書類:「雇用契約書」や「雇入れ通知書」など、トライアル雇用期間や賃金、労働時間といった労働条件が明記された書類の写しを添付します。 [2]

紹介証明書及び対象者確認書類等:ハローワーク等の紹介機関から交付された「紹介状」や、対象者の要件を確認するための書類(ハローワーク等で準備されるもの)を添付します。

<トライアル雇用終了後に提出する書類>

以下の書類を、トライアル雇用期間が終了した日の翌日から2か月以内に、管轄の労働局またはハローワークに提出します。この期限を過ぎると助成金は受給できなくなりますので、絶対に遅れないようにしてください。

トライアル雇用結果報告書 兼 トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)支給申請書(共通様式第2号):トライアル雇用の結果と助成金の支給を申請するための中心となる書類です。 [2]

支給要件確認申立書(共通要領 様式第1号):助成金の支給要件を満たしていることを事業主が申し立てる書類です。 [4]

出勤簿またはタイムカードの写し:トライアル雇用期間中の対象者の全勤務日における出退勤時刻が確認できる書類が必要です。 [4]

賃金台帳の写し:計画書通りの賃金が支払われたことを証明するために必要です。 [4]

支払方法・受取人住所届:初回申請時や振込口座に変更がある場合に提出します。 [4]

これらの書類はあくまで基本的なものです。管轄の労働局によっては、追加で書類の提出を求められる場合がありますので、事前に確認することをお勧めします。

必要手続き

助成金を受給するまでには、求人の申し込みから支給申請まで、いくつかのステップを踏む必要があります。各ステップの期限を守り、着実に進めることが成功の鍵です。

ハローワーク等への求人申し込み:まず、事業所の所在地を管轄するハローワーク等に「トライアル雇用求人」を提出します。この際、助成金の活用を検討していることを明確に伝え、制度の詳細について説明を受けると良いでしょう。

求職者の紹介・選考:ハローワーク等が、求人内容と求職者の希望をマッチングし、対象となる可能性のある求職者を紹介します。事業主は紹介された求職者と面接等を行い、採用を決定します。実施要領では、選考はなるべく書類だけでなく、面接で行うことが推奨されています。

雇い入れ・トライアル雇用開始:採用が決定したら、対象者と原則3か月の有期雇用契約を締結し、トライアル雇用を開始します。同時に、雇用保険の加入手続きも行います。

実施計画書の提出:トライアル雇用を開始した日から2週間以内に、「トライアル雇用実施計画書」を作成し、関連書類とともに紹介元のハローワーク等に提出します。 [3, 6]

トライアル雇用の実施:計画書に基づき、OJT等を通じて対象者の指導・育成を行います。定期的に面談の機会を設け、業務の進捗や職場への適応状況を確認し、常用雇用への移行に向けたサポートを行います。

常用雇用への移行または期間満了:3か月のトライアル雇用期間が終了する時点で、対象者の適性や能力、本人の意思などを総合的に判断し、期間の定めのない常用雇用へ移行するか、雇用契約を終了するかを決定します。

支給申請書の提出:トライアル雇用が終了した日の翌日から2か月以内に、必要な書類を揃えて管轄の労働局またはハローワークへ支給申請を行います。

助成金の支給:提出された書類が審査され、要件を満たしていることが確認されると、助成金が指定の口座に振り込まれます。審査には数か月かかるのが一般的です。 [5]

まとめ

トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)は、採用におけるミスマッチを解消し、就職が困難な方々の雇用を促進するための非常に有効な制度です。支給額は、対象者1人あたり月額最大4万円(最長3か月)です。 [2] 対象者が母子家庭の母等または父子家庭の父である場合は、月額最大5万円に増額されます。 [2] この助成金を活用することで、企業は採用コストを軽減しながら、これまで出会えなかった潜在能力の高い人材を発掘するチャンスを得られます。

成功のポイントは、制度の趣旨を十分に理解し、手続きの各段階で定められた期限を厳守することです。 [8] 特に、「トライアル雇用求人」の事前提出、「実施計画書」の2週間以内の提出、そして「支給申請書」の2か月以内の提出は極めて重要です。また、トライアル雇用期間中は、対象者を単なる労働力としてではなく、将来の戦力として育成する視点を持ち、丁寧な指導とコミュニケーションを心がけることが、常用雇用への円滑な移行と長期的な職場定着につながります。 [17]

本制度は、他の助成金(例えば、特定求職者雇用開発助成金など)と併用できる場合もあります。 [11] 制度の活用に関して不明な点があれば、まずは管轄の都道府県労働局やハローワークへ気軽に問い合わせてみましょう。この解説が、貴社の新たな人材確保戦略の一助となれば幸いです。

補助金・助成金に関するよくある質問

この補助金を自社で使えるか確認するにはどうすればよいですか?

補助金には「対象事業者」「対象経費」「補助率・上限額」「公募期間」という4つの基本条件があります。まず対象事業者要件(業種・従業員数・資本金など)を確認し、次に自社で予定している投資や経費が対象経費に該当するかを公募要領でチェックしてください。判断に迷う場合は、認定経営革新等支援機関や補助金申請の実務経験がある行政書士・税理士への相談が確実です。

補助金の申請にはどのような書類が必要ですか?

一般的には「事業計画書」「見積書(相見積もりが必要な場合あり)」「登記簿謄本(法人の場合)」「直近2期分の決算書」「経費明細書」「納税証明書」などが必要です。補助金ごとに追加書類が指定されるため、必ず最新の公募要領で確認してください。GビズIDプライムが事前に必要な電子申請の補助金も増えています。

補助金の申請から入金までどれくらいかかりますか?

標準的には、申請から採択発表まで1〜3ヶ月、採択後の交付決定・事業実施・実績報告・確定検査を経て入金まで、全体で6ヶ月〜1年程度かかるのが一般的です。補助金は原則「後払い(精算払い)」のため、事業実施中の資金繰りも事前に計画しておく必要があります。

採択率を上げるために最も重要なポイントは何ですか?

(1) 公募要領を隅々まで読み込み加点要素を漏らさない、(2) 事業計画の数値目標を具体的に書く(売上・生産性・雇用など)、(3) 補助事業の必要性・効果を経営課題と結びつけて論理的に説明する、(4) 早めに準備を始めて推敲する時間を確保する、(5) 認定経営革新等支援機関や補助金専門家のチェックを受ける。この5点が採択率を大きく左右します。

申請が不採択だった場合、再申請はできますか?

多くの補助金は同一年度内・翌年度でも再申請が可能です。不採択通知には通常、不採択理由の概要が示されているので、その点を重点的に修正して次回公募に再チャレンジしましょう。特に事業計画の論理性・数値目標の具体性・加点項目の取得は、改善により採択につながることが多い要素です。

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