補助金解説記事 / 補助金コンサルタント監修

両立支援等助成金の種類、獲得ガイド

詳細解説 実務家監修

Friday, September 05, 2025

両立支援等助成金の種類、獲得ガイド

両立支援等助成金(令和7年度版)を獲得するための全ステップ

目的・背景

両立支援等助成金は、仕事と育児・介護・不妊治療・健康課題の両立に取り組む事業主を総合的に支援する制度です。優秀な人材の採用・定着を目的に、職場の制度整備と実際の利用までを一気通貫で後押しする設計となっており、令和7(2025)年度は、①出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)、②介護離職防止支援コース、③育児休業等支援コース、④育休中等業務代替支援コース、⑤柔軟な働き方選択制度等支援コース、⑥不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コースの6コースで構成されます。制度は原則として中小企業を対象とし、毎年度要件・様式が更新されるため、最新の手引き・様式に基づく準備が不可欠です。

令和7年度要件の適用場面は、各コースごとに明確化されています(例:出生時両立支援コースは、第1種=令和7年4月1日以降に対象男性の育児休業が開始、第2種=同日以降に取得率が上昇等した場合)。本制度は、単なる休業取得の奨励に留まらず、雇用環境整備や業務体制整備など、「しくみ」×「実績」の両輪で審査される点が特徴です。申請は本社等の所轄 労働局(雇用環境・均等部(室))への提出で、郵送は期限内必着が原則です。到達日の管理を誤ると受理されず、翌年度持越しもできないため、申請カレンダーと証憑台帳で全体を統制しましょう。

対象者

対象事業主は、原則として中小企業事業主であり、コースの趣旨に沿った制度整備と実際の利用・実績が必要です。各コースは、就業規則・労働協約・労使協定等による事前の条文化と周知、そして対象労働者に関わる勤怠・賃金・申出書等の実績資料を核に審査されます。年度横断での経過措置があり得るため、着手前に自社の取組発生日・育児休業開始日・介護休業開始日・制度利用開始日を整理し、適用年度と該当様式を確定してください。

対象労働者は、雇用保険被保険者を基本とし、コースごとに詳細条件が設定されます。特に出生時両立支援コース(第1種)では、子の出生後8週間以内に開始する連続休業(1人目=5日以上〈うち所定労働日4日以上〉、2人目=10日以上〈同8日以上〉、3人目=14日以上〈同11日以上〉)が要件です。第2種は、事業年度単位での男性育休取得率の上昇等が要件で、A:前年度比+30ポイントかつ50%以上またはB:2か年連続70%以上(Bは対象企業の条件あり)を満たす必要があります。

共通的な前提として、就業規則・労働協約等に育児休業(産後パパ育休含む)や短時間勤務措置が規定され、一般事業主行動計画(次世代法)を策定・届出・公表・周知していることが求められます(プラチナくるみん認定で一部代替可)。いずれも開始日の前日までに規定・実施済であることが重要です。

対象にするために

令和7年度の両立支援等助成金は、6つのコースに大別されます。以下に、実務の勘所と審査で見られる要点を、制度名称・要件・期間・留意点という観点から整理します。各コース共通で、制度の規定(条文化・周知)と利用実績(勤怠・賃金・申出書等で立証)が核です。

① 出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)

第1種(男性の育児休業取得):雇用環境整備(研修・相談窓口・事例提供・方針周知・業務配分/人員配置の5類型)を対象人数と申出期限設定に応じた必要数実施し、男性労働者が出生後8週間以内に連続休業を取得した場合に支給。支給額は原則1人目20万円(4つ以上実施で30万円)、2人目10万円、3人目10万円。さらに「育児休業等に関する情報公表加算」2万円(1~3人目いずれか1回)あり。申請期限は育児休業の終了日の翌日から2か月以内(分割取得時の扱いに注意)。

第2種(男性育休取得率の上昇等):A:+30ポイントかつ50%以上、またはB:2年連続70%以上(Bは対象企業要件あり)を満たすことが要件。支給額は60万円(プラチナくるみん認定で+15万円加算)。申請期限は取得率が上昇等した事業年度の翌事業年度の開始日から6か月以内。第2種の受給後は第1種の申請不可、同一年度での第1種・第2種同時申請不可。

雇用環境整備の必要数:対象人数(1~3人目)と産後パパ育休の申出期限(2週間前ルールか、2週間超の独自設定か)で必要数が変動(例:1人目は通常2つ以上、2週間超なら3つ以上。4つ以上実施で第1種の支給額が加算)。管理職研修は特に重視。

就業規則/内規と体制整備:業務見直しの規定等(業務整理・引継ぎ・休廃止/効率化/外注等の検討)を明文化し、対象者の雇用契約期間中に実施。制度規定は開始日の前日までに整備。

② 介護離職防止支援コース

概要:介護休業の取得、介護両立支援制度の利用、業務代替支援の体制整備に取り組む中小企業を支援。令和7年4月1日以降に各取組が開始した場合が対象。制度の規定化と実施記録の両立が鍵。

実務の要点:介護休業規定・所定労働時間の短縮措置等を就業規則に整備、対象者の申出書、勤怠・賃金のエビデンスを確保。代替体制は配置・引継ぎ・マニュアル整備など具体の採用が必要。

③ 育児休業等支援コース

概要:育休取得時と職場復帰時の2場面で支援。育休復帰プランの策定、就業規則の整備、復帰支援面談、代替体制など、プランと運用実績をセットで準備。令和7年4月1日以降に休業が開始した場合に適用。

注意:出生時両立支援コース第1種と同一労働者・同一休業での併給不可(どちらか一方で申請)。休業の分割や支払時期の取扱いは期ズレに注意。

④ 育休中等業務代替支援コース

概要:育休中の代替者への手当支給や、短時間勤務利用者の代替手当、新規雇用・派遣受入による代替措置を支援。令和7年4月1日以降の休業開始/制度利用開始が対象。

要点:就業規則・労使協定に代替手当の位置づけと算定ルールを明示し、支給実績、勤怠・シフト、代替者の雇入通知等で裏付け。

⑤ 柔軟な働き方選択制度等支援コース

概要:育児期の柔軟な働き方を可能にする制度(例:時差勤務・短時間・テレワーク・週休拡張・所定外免除など)を複数導入し、支援プランに基づく実利用を評価。令和7年4月1日以降の制度利用開始が対象。

要点:対象範囲(正規・非正規)、適用手順、申請/承認、評価・昇給・賞与への波及を規程に明記し、偏りのない適用を実証。

⑥ 不妊治療及び女性の健康課題対応 両立支援コース

概要:不妊治療のための休暇制度や通院配慮等を整備し、実利用がある場合に支援。令和7年4月1日以降の制度利用開始が対象。

要点:就業規則に対象範囲・取得単位・回数上限・賃金取扱い等を明記。受診証明の扱いは個人情報保護と両立。

必要書類

書類は「制度の存在」と「実際の利用」を証明するための規程系と実績系に大別されます。以下は代表例(特に出生時両立支援コースを中心)。各コースの最新様式で作成し、原本性と整合性を担保してください。

支給申請書(各コース様式):最新版様式を使用。第1種は所定の様式第1号①②、第2種は様式第2号①②③④。記載例に準拠し、本社等の所轄労働局へ提出。

支給要件確認申立書(共通要領様式):雇用関係助成金共通。最新版を使用。

就業規則/労働協約・労使協定:育児休業(産後パパ含む)、育児のための所定労働時間短縮等の該当箇所。開始日の前日までに整備。10人未満は周知資料で代替可。

雇用環境整備の実施資料:研修(案内・実施要領)、相談体制(窓口設置・周知)、事例提供(掲載資料)、方針周知(回覧・配信記録)、業務配分/人員配置(見直しリスト・マニュアル)。必要数を満たす資料を添付。

業務見直しに関する規定等:業務整理・引継ぎ・見直しの規定化と周知(就業規則や内規、育休復帰支援プラン)。対象者の雇用契約期間中に実施。

育児休業申出書:申出日の明記、期間変更申出がある場合は併せて提出。

出勤簿/タイムカード・賃金台帳:休業前1か月の実績と休業中の控除が分かるもの、控除算定書(任意様式)。

労働条件通知・就業規則該当箇所・企業カレンダー/シフト表:雇用契約期間・所定労働時間・所定労働日数の確認用。

母子手帳(出生証明部分)・住民票等:出生日や出産予定日の確認。個人番号は提出不要(マスキング)。

一般事業主行動計画(策定届):プラチナくるみん認定があれば提出省略可。

提出省略に関する確認書:2・3人目申請で内容不変の場合、規程・環境整備・規定等・行動計画の再提出を省略可。

支払方法・受取人住所届+通帳写し:初回申請時に必要。

書類品質の注意:発効・施行・届出・周知の日付整合、雇用環境整備の実施日と開始日の前日までの要件の関係、雇用保険被保険者での継続雇用の確認、郵送は期限内必着など、期日と証憑のひも付けが最重要です。

必要手続き

ここでは、出生時両立支援コースを中心に、全コース共通の実務運用をタイムラインで整理します。各コースで開始時期の基準や申請期限が異なるため、案件台帳(対象者・制度名・開始日・終了日・申請期限・提出先・様式版数)での統制が推奨です。

準備(~取組開始の1か月前目安)

制度設計:就業規則/労使協定に育児休業(産後パパ)・短時間措置・柔軟な働き方・介護両立・不妊治療配慮を条文化。該当コースの要件に合致させる。

雇用環境整備の計画(出生時第1・第2種):研修、相談窓口、事例提供、方針周知、業務配分/人員配置を必要数実施。産後パパ申出期限が2週間超なら必要数が増える点に留意。

一般事業主行動計画:策定・届出・公表・周知を申請までに完了(プラチナくるみん認定は代替)。

業務見直し規定等:業務整理/引継ぎ/見直しの規定化と周知(就業規則や内規、育休復帰支援プラン)。

開始(対象者の休業・制度利用のスタート)

出生時第1種:出生後8週間以内に開始する連続休業(1人目≥5日等)の取得。開始前日までに制度規定・環境整備・規定等を整備済であること。

出生時第2種:事業年度の男性育休取得率をモニタリング(A:+30ポイント&50%、B:2年連続70%)。雇用環境整備・規定等は当該年度の対象者の雇用契約期間中に実施。

介護/育児/代替/柔軟/不妊治療:各コースで定められた開始基準日(令和7年4月1日以降の開始)を満たすこと。

実績の蓄積(休業中~復帰/制度運用期間)

勤怠・賃金エビデンス:出勤簿/タイムカード、賃金台帳、控除算定、代替手当支給等を整備。

雇用保険被保険者の継続:開始日~申請日まで在籍かつ被保険者であること(中断・退職は対象外)。

公表加算(出生時第1種):育児休業等に関する情報の公表を満たす資料を準備(申請時1回限り2万円加算)。

支給申請(期限厳守)

第1種:対象休業の終了日の翌日から2か月以内(分割休業は要件を満たした休業の終了翌日起算に注意)。

第2種:取得率上昇等の事業年度の翌事業年度開始日から6か月以内。第2種受給後は第1種申請不可。

申請先:本社等の所在地を管轄する労働局 雇用環境・均等部(室)。郵送は必着管理(消印ベース不可)。

審査・決定・保存

書面審査+実地調査の可能性。元帳・通帳等の提示要求に備えて整備。

保存義務:申請書・添付の写しを5年間保管(会計検査へ対応)。

よくある不支給要因(回避チェック)

期限誤り:第1種の起算は「休業終了日の翌日」、第2種は「翌事業年度開始日から6か月」。郵送は必着。

規定未整備/実施日違反:開始前日までに制度規定や雇用環境整備、規定等が未完了。

雇保の継続欠落:開始~申請の間で被保険者でない、退職・解雇。

必要数不足:第1・第2種の雇用環境整備の数が足りない、産後パパ申出期限に応じた増要件を失念。

併給不可の違反:同一労働者・同一休業で育児休業等支援コースと出生時第1種を重複申請。

まとめ

両立支援等助成金は、育児・介護・不妊治療・柔軟な働き方など、実務の現場ニーズに即した支援を網羅する制度です。令和7年度は、開始基準日と申請期限、制度の規定化(条文化・周知)、雇用環境整備の必要数、雇保被保険者の継続といった審査の勘所が一段と明確になっています。対象者のスケジュールと制度改定の情報を接続し、案件台帳で「だれが・いつ・どの制度を・どれだけ使ったか」を可視化することで、不支給リスクを大幅に低減できます。

特に出生時両立支援コースは、第1種の休業終了翌日から2か月、第2種の翌事業年度開始から6か月という期限管理が生命線です。雇用環境整備の必要数(対象人数・産後パパ申出期限の設定により変動)や、業務見直し規定の明文化と実施のタイムラインも、開始前日までの整備が要求されます。これらを就業規則/内規/プラン、勤怠/賃金/申出の連動で証明すれば、採択の再現性は高まります。

さいごに、毎年度で様式・支給要件が更新されるため、該当年度の手引き・支給要領・申請様式を必ず確認し、場合によっては前年度以前の要件適用となる経過措置も視野に入れてください。本社等の所轄労働局(雇用環境・均等部(室))への早期相談と、期限内必着を徹底する運用体制が、企業の人材確保・定着の実効性を高めます。

補助金・助成金に関するよくある質問

この補助金を自社で使えるか確認するにはどうすればよいですか?

補助金には「対象事業者」「対象経費」「補助率・上限額」「公募期間」という4つの基本条件があります。まず対象事業者要件(業種・従業員数・資本金など)を確認し、次に自社で予定している投資や経費が対象経費に該当するかを公募要領でチェックしてください。判断に迷う場合は、認定経営革新等支援機関や補助金申請の実務経験がある行政書士・税理士への相談が確実です。

補助金の申請にはどのような書類が必要ですか?

一般的には「事業計画書」「見積書(相見積もりが必要な場合あり)」「登記簿謄本(法人の場合)」「直近2期分の決算書」「経費明細書」「納税証明書」などが必要です。補助金ごとに追加書類が指定されるため、必ず最新の公募要領で確認してください。GビズIDプライムが事前に必要な電子申請の補助金も増えています。

補助金の申請から入金までどれくらいかかりますか?

標準的には、申請から採択発表まで1〜3ヶ月、採択後の交付決定・事業実施・実績報告・確定検査を経て入金まで、全体で6ヶ月〜1年程度かかるのが一般的です。補助金は原則「後払い(精算払い)」のため、事業実施中の資金繰りも事前に計画しておく必要があります。

採択率を上げるために最も重要なポイントは何ですか?

(1) 公募要領を隅々まで読み込み加点要素を漏らさない、(2) 事業計画の数値目標を具体的に書く(売上・生産性・雇用など)、(3) 補助事業の必要性・効果を経営課題と結びつけて論理的に説明する、(4) 早めに準備を始めて推敲する時間を確保する、(5) 認定経営革新等支援機関や補助金専門家のチェックを受ける。この5点が採択率を大きく左右します。

申請が不採択だった場合、再申請はできますか?

多くの補助金は同一年度内・翌年度でも再申請が可能です。不採択通知には通常、不採択理由の概要が示されているので、その点を重点的に修正して次回公募に再チャレンジしましょう。特に事業計画の論理性・数値目標の具体性・加点項目の取得は、改善により採択につながることが多い要素です。

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