東京都では、自社ブランドによる海外販路拡大を目指す都内中小企業者等が、進出予定国で出願・権利化された第三者の類似商標によりビジネスの障害を受けている場合に、その類似商標の取消・無効化に要する行政手続きや行政訴訟、調査、示談・和解等に係る経費を支援する。令和8年4月1日から最長令和10年12月31日までを対象期間とし、助成率1/2以内、総額500万円(3期通算)を上限として助成する。本記事では、制度の概要・補助率・対象経費・申請スケジュール・注意点までを公募要領ベースで整理してお届けします。
- 実施機関
- 東京都知的財産総合センター(公益財団法人東京都中小企業振興公社)
- 対象地域
- 東京都
- 受付期間
- 〜2026-12-01
- 事業実施期間
- 令和8年4月1日から最長令和10年12月31日まで(2年9か月)。助成対象期間は、年度ごとに3期間に区分される。令和8年度:令和8年4月1日から令和9年3月31日(第1期)、令和9年度:令和9年4月1日から令和10年3月31日(第2期)、令和10年度:令和10年4月1日から令和10年12月31日(第3期)
- 補助上限額
- 500万円
- 補助率
- 助成対象と認められる経費の1/2以内
制度の目的と背景
本助成金は、自社ブランドによる海外販路拡大を目指すに当たり、進出予定国において出願され権利化された第三者の有する商標又はその類似商標(以下「類似商標等」という。)がビジネスの障害になっている東京都内の中小企業者等に対して、当該障害となっている商標の取消や無効化に要する行政手続き及びそれに関する行政訴訟(民事訴訟は含まれない)の経費、これらの手続に伴う示談、和解、損害賠償等に関する弁護士・弁理士経費(示談、和解、損害賠償自体の金銭は含まれない)及びこれらの遂行に必要な調査のための経費の一部を助成し、取消や無効化に関する戦略の策定、体制の構築、進捗状況に応じた対策を継続的かつ強力に支援することによって、中小企業者等の自社ブランドによる国際展開を後押しし、東京の産業を牽引する企業を創出することを目的とします。
補助率と上限額
本補助金の補助率と上限額は以下のとおりです。
◼︎ 補助率
助成対象と認められる経費の1/2以内
◼︎ 補助上限額
500万円
◼︎ 内訳・支援枠
500万円を上限(3期通算)、助成率1/2以内の単一枠のみ
対象となる事業者
本補助金の対象となる事業者は以下のとおりです。申請前に自社が要件を満たしているかご確認ください。
- 中小企業者(会社及び個人事業者)で以下の条件を満たすもの:製造業等は資本金3億円以下・常時使用従業員300人以下、ゴム製品製造業(一部除く)は資本金3億円以下・常時使用従業員900人以下、卸売業は資本金1億円以下・常時使用従業員100人以下、サービス業(下記以外)は資本金5千万円以下・常時使用従業員100人以下、旅館業は資本金5千万円以下・常時使用従業員200人以下、小売業は資本金5千万円以下・常時使用従業員50人以下
- 中小企業団体(中小企業等協同組合法に基づく組合又は中小企業団体の組織に関する法律第3条に掲げる団体であって、構成員の半数以上が東京都内の事業所で実質的に事業を行っている中小企業者であり、大企業が実質的に経営に参画していない者)
- 一般社団法人及び一般財団法人(一般社団法人は社員総会における議決権の2分の1以上を都内の事業所で実質的に事業を行っている中小企業者が有しており、一般財団法人は設立に際して拠出された財産の価額の2分の1以上が都内の事業所で実質的に事業を行っている中小企業者により拠出されており、いずれも大企業が実質的に経営に参画していない者)
- 基準日(令和8年4月1日)現在で、会社については東京都内に登記簿上の本店又は支店、中小企業団体及び一般社団法人並びに一般財団法人については東京都内に登記簿上の主たる事務所のいずれかがあること
- 基準日現在で、1年以上、東京都内の事業所で実質的に事業を行っている、又は、引き続く事業期間が1年に満たないが、東京都内で創業し、東京都内の事業所で実質的に事業を行っている者
- 個人事業者の場合:基準日現在で、税務署に提出済みの個人事業の開業・廃業等届出書の写しにより、納税地・主たる事業所等の東京都内所在等が確認できること
- 同一内容で、公社・国・都道府県・区市町村等から助成を受けていないこと
- 同一内容で公社が実施する他の助成金に併願申請していないこと
- 申請日以前に、申請内容に関する知財相談を当センターで受けていること
- 事業税等を滞納(分納)していないこと
- 東京都及び公社に対する賃料・使用料等の債務の支払が滞っていないこと
- 申請日までの過去5年間に、公社・国・都道府県・区市町村等が実施する助成事業等に関して、不正等の事故を起こしていないこと
- 過去に公社から助成金の交付を受けている者は、本助成事業への申請時点までの、当該の助成事業で定める報告期間の全てにおける活用状況報告書等を提出していること
- 民事再生法又は会社更生法による申立て等、助成事業の継続性について不確実な状況が存在しないこと
- 助成事業の実施に当たって必要な許認可を取得し、関係法令を遵守すること
- 東京都暴力団排除条例に規定する暴力団関係者又は公社所定「反社会的勢力排除に関する誓約事項」の誓約遵守に反するものでないこと
- 風俗営業等の規制及び業務の適性化等に関する法律第2条に規定する風俗関連業、ギャンブル業、賭博等、支援の対象として社会通念上適切でないと判断される業態を営んでいないこと
- 連鎖販売取引、ネガティブ・オプション(送り付け商法)、催眠商法、霊感商法など、公的資金の助成先として適切でない業態を営んでいないこと
対象経費
補助対象となる経費は以下のとおりです。公募要領で定める範囲を超える経費は対象外となるため、申請時には個別に確認してください。
- 情報収集関連費用:証拠収集費用(初期情報)として出願商標情報入手費用(出願者、出願番号、出願日、登録日、商標、区分)、翻訳費用、代理人費用(国内、現地)
- 調査費用:対象企業情報(個人の場合も含む)、対象商標情報、対象国における対象商標使用状況(使用の有無、使用開始時期、使用規模・範囲)、対象国での保有商標(登録している場合に限る)、代理人費用(国内、現地)
- 異議申立・不使用取消審判・無効審判・情報提供:行政手続費用として異議申立、不使用取消審判、無効審判に関する行政機関に支払う手続費用、商標出願に対する情報提供に関する費用、代理人費用(国内、現地)
- 証拠収集費用:上記に関する証拠収集・調査関連費用、公証費用、翻訳費用、代理人費用(国内・現地)、鑑定書(意見書、見解書)費用
- 示談、和解、損害賠償:異議申立、不使用取消審判、無効審判提起後にこれらに関連して行われた示談、和解、損害賠償請求に関する代理人費用(国内・現地)。なお、示談、和解、損害賠償自体の金銭は助成金の対象とはしない
- 行政訴訟:行政訴訟費用として異議申立、不使用取消審判、無効審判に関する行政訴訟のために裁判所に支払う手続費用、代理人費用(国内、現地)
- 証拠収集費用:上記に関する証拠収集・調査関連費用、公証費用、翻訳費用、代理人費用(国内・現地)、鑑定書(意見書、見解書)費用
- 示談、和解、損害賠償:行政訴訟提起後にこれに関連して行われた示談、和解、損害賠償請求に関する代理人費用(国内・現地)。なお、示談、和解、損害賠償自体の金銭は助成金の対象とはしない
◼︎ 対象外となる経費・事項
- 助成事業に直接関係のない経費
- 帳票類が不備の経費(契約書若しくは注文書・注文請書、完了報告書類、源泉所得税納付時の領収証書、請求書、振込控、通帳等が確認できない場合)
- 交付申請書に記載されていない事項に関する経費(対策の対象となる類似商標等の変更や区分又は対象国の追加の場合等)
- 他の取引と相殺して支払が行われている経費
- 助成事業者の口座から振込先の口座への振込払い以外の方法により支払が行われている経費(現金、手形、小切手、電子記録債権)
- 支払時に、ポイントカード等によるポイントを取得・使用した場合のポイント分
- 親会社、子会社、グループ企業等関連会社(自社と資本関係のある会社、役員等及び従業員を兼任している会社、代表者の三親等以内の親族が経営する会社等)との取引に係る経費
- 類似商標等の取消や無効化に係る対策を複数の事業者で共同実施する場合の、共同実施者間での取引に係る経費
- 国内消費税
- 国内向けの振込手数料及び振込先負担の場合の振込手数料
- 一般的な市場価格若しくは発注又は契約の内容に対して著しく高額な経費
- 公的資金の用途として社会通念上、不適切と認められる経費
- 発注又は契約から支払までの一連の手続きが助成対象期間内に未完了の経費
- 民事訴訟に関する経費
- 鑑定費用(意見書、見解書)について、セカンドオピニオン以降に係る経費
- 口頭による鑑定(意見、見解)の経費
- 出願に要する経費(中間手続に係る経費、登録料、維持年金等も含む)
- 手続期限を延長するための経費
- 支払額の一部又は全額に相当する金額を口座振込や現金により助成事業者へ払い戻すことで、支払額を減額・無償とすることにより、取引を証明する証憑に記載された金額と実質的に支払われた金額が一致しない経費
申請スケジュール
受付締切は2026-12-01です。事業実施期間は令和8年4月1日から最長令和10年12月31日まで(2年9か月)。助成対象期間は、年度ごとに3期間に区分される。令和8年度:令和8年4月1日から令和9年3月31日(第1期)、令和9年度:令和9年4月1日から令和10年3月31日(第2期)、令和10年度:令和10年4月1日から令和10年12月31日(第3期)となっています。スケジュールがタイトなため、検討中の事業者は早めに準備を始めることをおすすめします。
審査のポイント
審査では、以下の観点から事業計画が評価されます。申請書の記載にあたっては、これらの項目を意識して具体的な内容を盛り込むことが重要です。
- ◼︎ 資格審査:申請要件等を満たしているかを確認する。中小企業者の定義、東京都内での事業実態、各種要件の充足状況等を審査する。
- ◼︎ 経理審査:財務内容等を審査する。事業継続性、資金調達能力、経営の健全性等を確認する。
- ◼︎ 技術審査:対策の目的の妥当性、対策の緊急性、ビジネス上の障害状況の深刻度、対策の効果、対策に関し入手した情報の根拠の妥当性を総合的に評価する。自社ブランドによる海外展開における類似商標の障害の深刻さ、取消・無効化対策の必要性・緊急性、対策の実現可能性と効果等を詳しく審査する。
活用にあたっての注意点
本補助金を活用するにあたり、特に留意しておきたいポイントは以下のとおりです。
- 申請前に必ず知財相談を当センターで受けることが必要
- jGrantsでの電子申請と申請書類の郵送提出の両方が必要
- GビズIDプライムアカウントの事前取得が必要(国の審査により発行まで時間がかかる)
- 同一年度の交付決定は、一中小企業者等につき一件まで
- 類似商標等の取消や無効化に係る対策の複数の事業者による共同実施の場合、助成金申請者の費用負担割合に応じて助成予定額を決定
- 助成事業の完了は、助成対象期間内に助成事業者による類似商標等の取消や無効化に係る対策の手続が完了したことが条件
- 支払が確認できる書類(請求書、振込控等)のほか、その履行が確認できる資料(完了報告書類)の提出が必要
- 助成対象期間中に申請要件を満たさなくなった場合には、助成対象期間内であっても打ち切ることがある
- 同一の類似商標等の取消や無効化に係る対策に対して、他の助成金と重複して助成金を受けることはできない
- 申請の確認・提出、及び申請受付以降の手続きは、助成金申請者の代表者又は従業員が行う必要がある(jGrants上の当初申請手続きに限り、代理申請機能を使用可能)
- 出願等に係る代理人は代理申請を請け負うことができない
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