食品製造事業者等が輸出先国の規制(HACCP等の認定・認証取得等)に対応するために必要な施設や機器の整備費用を支援する補助金。補助率は1/2以内で、令和7年度補正事業は上限6億円・下限250万円、令和8年度当初事業は上限1億円。都道府県が交付先となり、輸出額を20百万円以上増加させることが成果目標。GFP登録や全体事業費の10%以上の貸付受入等が採択要件。本記事では、制度の概要・補助率・対象経費・申請スケジュール・注意点までを公募要領ベースで整理してお届けします。
- 実施機関
- 農林水産省 輸出・国際局 輸出支援課
- 対象地域
- 全国
- 受付期間
- 2026-04-10〜
- 事業実施期間
- 事業実施後5年以内を目標年度とする
- 補助上限額
- 6億円
- 補助率
- 1/2以内
制度の目的と背景
今後急速な人口減少社会を迎える中で、我が国の農林漁業者及び食品事業者の所得を確保し、生産基盤を維持・強化するためには、輸出に新たな活路を見出すことが重要である。農林水産物・食品の輸出に当たっては、輸出先国・地域が食品衛生、動植物検疫など様々な観点から輸入規制や条件を設定しており、輸出事業者等は、輸出先国の規制に対応するための施設・機器及び体制の整備が必要である。このような課題を踏まえ、農林水産物・食品の更なる輸出の拡大を図ることを目的として、農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律を改正し、日本の農林水産物及び食品の輸出の促進を図っているところである。本事業では、食品製造事業者等が、輸出先国の規制に対応するために必要となる施設や機器の整備及び施設や機器の整備と一体的に行い、その効果を高めるために必要となるコンサルティング等に要する経費を支援するものとし、農林水産物・食品の輸出額目標(令和12年までに5兆円)の達成に向け、施設整備を通じた輸出産地の育成を図るために実施するものとする。
補助率と上限額
本補助金の補助率と上限額は以下のとおりです。
◼︎ 補助率
1/2以内
◼︎ 補助上限額
6億円
◼︎ 内訳・支援枠
令和7年度補正事業: 上限6億円・下限250万円・補助率1/2以内、令和8年度当初事業: 上限1億円・下限なし・補助率1/2以内
対象となる事業者
本補助金の対象となる事業者は以下のとおりです。申請前に自社が要件を満たしているかご確認ください。
- 食品製造事業者
- 食品流通事業者
- 中間加工事業者等
- 法人
- 地方公共団体
- 本事業の実施者として都道府県等が適当と認める者(法人格を有する農林漁業者又は農林漁業者の組織する団体が、食品の製造・加工、流通等の事業を行う場合を想定)
対象経費
補助対象となる経費は以下のとおりです。公募要領で定める範囲を超える経費は対象外となるため、申請時には個別に確認してください。
- 施設等整備事業: 輸出向けHACCP等の認定・認証取得等(輸出先国の規制対応)するために必要となる施設の整備(新設・増築及び改修を含む)に係る経費
- 施設の新設及び増築については、掛かり増し分(工事費、実施設計費及び工事雑費のうち、輸入条件への対応や輸出向けHACCP等の認定・認証取得を行う場合の経費から、建築基準法に基づく構造耐力上主要な部分(壁及び床版は除く)の経費を差し引いた金額)
- 機器の整備に係る経費
- 製造・加工・流通等の施設の新設・増築・改修(事務室、休憩室、会議室、応接室等の食品製造に直接関与しない部屋は対象外)
- 施設の衛生管理の強化に向けた排水溝、床、壁等の改修
- エアーシャワー、殺菌機等の衛生管理設備の導入
- 温度管理を要する装置・設備の導入
- 効果促進事業: 輸出向けHACCP等の認定・認証取得に係る費用、検疫や添加物等の規制への対応や輸出向けHACCP等導入後の適切な管理・運用を行うための人材育成に係る経費等(施設・機器の整備と一体的に行い、その効果を高めるために必要となるコンサルティング等に係る経費、施設等整備事業の交付対象事業費の20%以内)
◼︎ 対象外となる経費・事項
- 事務室、休憩室、会議室、応接室等の食品製造に直接関与しない部屋
- 建築基準法に基づく構造耐力上主要な部分(壁及び床版は除く)の経費(新設・増築の場合)
申請スケジュール
事業実施期間は事業実施後5年以内を目標年度とするとなっています。スケジュールがタイトなため、検討中の事業者は早めに準備を始めることをおすすめします。
審査のポイント
審査では、以下の観点から事業計画が評価されます。申請書の記載にあたっては、これらの項目を意識して具体的な内容を盛り込むことが重要です。
- ◼︎ 輸出先国の分析:輸出先となるターゲット国が決定しており、当該ターゲット国に対して輸出しようとする品目(商品)について、輸出先国の市場及び規制に関する分析が行われていること。具体的な市場分析と規制対応の検討が求められる。
- ◼︎ 投資効率:費用対効果分析の手法により投資効率を算出し、投資効率が2.0以上となっていること。経済的合理性を数値で示す必要がある。
- ◼︎ 直近3年の輸出額実績:過去の輸出実績を評価し、実績の高い事業者が優遇される。実際の輸出経験と実績が重要な評価要素となる。
- ◼︎ 取得済の輸出向けHACCP等の認定・認証の有無及び種類:既に輸出向けの認定・認証を取得している事業者は、輸出への本気度と実行力が評価される。認証の種類や数も評価に影響する。
- ◼︎ 輸出目標額:輸出目標額の設定が適切で実現可能性が高いかを評価する。目標年度における輸出額を現状と比較して2千万円以上増加させる計画が求められる。
- ◼︎ 取得予定の輸出向けHACCP等の認定・認証の種類:計画している認定・認証取得の内容と輸出目標との整合性、実現可能性を評価する。具体的な取得スケジュールと体制も重要。
- ◼︎ 重点品目の輸出拡大の有無:「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略」において重点品目に位置づけられた品目の輸出拡大を図る事業が優遇される。国の戦略との整合性が評価される。
- ◼︎ 品質・衛生管理専門家の活用:輸出向けHACCP等の認定・認証の取得に向け、事業実施計画の策定に当たり、品質・衛生管理専門家を活用した調査・検討を実施していることが評価される。専門的な検討の実施が重要。
◼︎ 加点項目
以下のいずれかに該当する事業者は、審査において加点の対象となります。
- 輸出商品の主原料における国産原料の使用割合が高いこと
- GFP大規模輸出産地生産基盤強化プロジェクト若しくは大規模輸出産地モデル形成等支援事業に採択された間接補助事業者又はフラッグシップ輸出産地に参画している事業者
- 施設の新設・増築を伴う事業実施計画
- ALPS処理水の海洋放出に伴う輸入規制強化の対象となった品目(ホタテ又はナマコ)について、輸入規制強化を行った国・地域以外で輸出向けHACCP等の認定・認証を取得予定の水産加工事業者
- 令和7年に米国が発表した関税措置による影響を受け、又は影響を受ける見込みのある事業者
- 都道府県ポイント(地域の振興作物・産品など地域の実情を踏まえた取組)
活用にあたっての注意点
本補助金を活用するにあたり、特に留意しておきたいポイントは以下のとおりです。
- GFP(農林水産物・食品輸出プロジェクト)に登録していることが必須
- 交付対象事業費に充てるために金融機関またはその他適当と認められる者から交付対象事業の全体事業費の10%以上の貸付けを受けて事業を実施することが必須
- 事業実施主体においてHACCPチームが編成されていること、チームメンバーにはHACCP研修受講者を必ず含むこと
- これまでに本事業又は類似事業(HACCP対応のための施設改修等支援事業等)を同一品目で実施した者にあっては、期日までに認定・認証を取得済であること、かつ、実施した事業において設定した成果目標を達成済であることが必要
- 事業実施主体の財務状況が、安定した事業運営が可能であると認められること(直近3年の経常損益が3年連続赤字となっている事業者、又は、直近の決算において債務超過となっている事業者は交付対象外)
- 輸出事業計画を作成し、農林水産大臣に提出し、その認定を受ける又は認定を確実に受ける見込みであると認められること
- ポイントが16ポイント以上の事業実施計画を配分対象とする
- 計画書は事業者自身が事業の趣旨を理解したうえで作成し、都道府県に提出すること(行政書士でない者が他人の依頼を受け報酬を得て計画書の作成を行うことは行政書士法により禁止)
- 原則として、交付決定前の事業着手(工事契約、機器発注)は認められない
- 原則として、他の国の補助事業との併用は認めない
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