飲食業の労働生産性向上を目指し、2029年度までに35%向上を目標とする省力化投資促進計画。調理・接客・店舗管理の各業務における自動化・省力化機器やシステムの導入を推進し、具体的な取組メニューと概算費用、実行計画の策定方法を示したガイドブック。本記事では、制度の概要・補助率・対象経費・申請スケジュール・注意点までを公募要領ベースで整理してお届けします。
- 実施機関
- 農林水産省・厚生労働省
- 対象地域
- 全国
- 事業実施期間
- 2025年~2029年を省力化投資集中期間とし、2029年度までに飲食業の労働生産性を35%向上(名目値、2024年度比)することを目指す
- 補助上限額
- (公募要領参照)
制度の目的と背景
飲食業は、社会インフラとして欠かせない存在であり、約400万人の大きな雇用を創出している一方で、調理や盛り付け、接客等、人手を要する工程が多い典型的な労働集約型産業であることから、労働生産性は他業種と比較しても極めて低くなっています。また、人手不足も顕著であり、経営が立ち行かなくなる事業者も散見されています。これらの課題に対応するためには、設備やITシステム等の導入による省力化を進めることにより人手不足に対応しつつ、空いた時間を活かし、消費者へのサービスの質や付加価値(対価性)の向上による売上拡大、賃金への反映、働きやすさ・働きがいのある職場の形成に取り組んでいただくことが重要です。
対象となる事業者
本補助金の対象となる事業者は以下のとおりです。申請前に自社が要件を満たしているかご確認ください。
- 飲食事業者(主に1店舗~10店舗程度の事業者を対象)
対象経費
補助対象となる経費は以下のとおりです。公募要領で定める範囲を超える経費は対象外となるため、申請時には個別に確認してください。
- 在庫管理・食材発注システム
- フードスライサー・カッター/タイマーカウンター等の業務用機器
- 急速冷凍保存機器/再加熱キャビネット
- 自動炊飯器・自動発酵・自動炒め・自動フライヤー等各種機器
- スチームコンベクション/真空調理機
- 米飯等の盛り付け機/スープ・飲料等のディスペンサー
- オーダーエントリーシステム
- 食器洗浄機/グラス洗浄機
- 予約ツール/予約台帳管理システム
- 来店受付・案内システム
- オーダーキオスクレイアウト券売機
- デジタルメニュー/セルフオーダーシステム
- 配膳・下げ膳ロボット
- セルフレジ/非現金決済システム
- 清掃ロボット
- 業務システムのPOS→販売管理システム統合
- CRM分析・販促管理ツール
- 人事労務管理ツール
- 教育研修ツール(動画・WEB)
- 従業員間情報共有・コミュニケーションツール
申請スケジュール
事業実施期間は2025年~2029年を省力化投資集中期間とし、2029年度までに飲食業の労働生産性を35%向上(名目値、2024年度比)することを目指すとなっています。スケジュールがタイトなため、検討中の事業者は早めに準備を始めることをおすすめします。
審査のポイント
審査では、以下の観点から事業計画が評価されます。申請書の記載にあたっては、これらの項目を意識して具体的な内容を盛り込むことが重要です。
- ◼︎ 目的・目標の設定:最終的なゴールが決まっているか。単に機器やシステムを入れるのではなく、導入により何を改善したいかを明確にし、残業時間の削減や人員削減等の具体的な数値目標を設定する必要がある。その目標にあった機器・システムを選定することが重要。
- ◼︎ 現状の把握:手間・時間がかかる業務を具体的に把握しているか。なんとなく無駄が多いといった漠然とした認識ではなく、どこに、どのくらいの時間やお金のムダがあるかを数値化して把握することが必要。その数字が次に何をするか決めるための土台となる。
- ◼︎ 必然性の検討:本当に人の手で行う理由があるかを検討。導入する機器やシステムが店舗の「らしさ」を壊さないか、その作業を人が行うことでお客様は感動するのかを再検討し、機械に任せられる部分は思い切って任せることが重要。
- ◼︎ 採算性の検討:費用は何か月で回収できるかを具体的に検討。導入コスト(初期費用・毎月の運用費用)は決して安くないため、投資した分の回収期間をシミュレーションし、初期費用を抑えるためのレンタルやリース、サブスクリプションサービスの検討、支援制度の活用も考慮する。
活用にあたっての注意点
本補助金を活用するにあたり、特に留意しておきたいポイントは以下のとおりです。
- 効果や費用、投資回収期間目安については一例であり、規模やスペック、購入・リースの別等によって大きく異なる
- 機械化できても、お店の戦略や方針に合わない場合は、敢えて人が対応する選択も1つの手である
- 最終的に人の手で行うと決めることもお店の戦略である
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