事業再編・事業統合後の中小企業者等がPMI(経営統合作業)を実施する際に、専門家を活用した経費の一部を補助。対象は中小企業基本法第2条に準じた中小企業者等で、M&Aクロージング後1年以内のPMI実施が要件。補助率1/2以内、補助上限額150万円(廃業費併用時は300万円追加)、補助下限額50万円。本記事では、制度の概要・補助率・対象経費・申請スケジュール・注意点までを公募要領ベースで整理してお届けします。
- 実施機関
- 事業承継・M&A補助金事務局
- 対象地域
- 全国
- 受付期間
- 2026-02-27〜2026-04-03
- 事業実施期間
- 2026年5月(下旬予定)から12か月以内を想定
- 補助上限額
- 150万円
- 補助率
- 補助対象経費の1/2以内
制度の目的と背景
中小企業生産性革命推進事業 事業承継・M&A補助金(以下、「本補助金」という。)は、中小企業者及び個人事業主(以下、中小企業者と個人事業主を総称して「中小企業者等」という。)が事業承継、事業再編及び事業統合を契機とした取り組みを行う事業等(以下、「本事業」という。)について、その経費の一部を補助することにより、事業承継、事業再編及び事業統合を促進し、生産性向上による我が国経済の活性化を図ることを目的とする。本事業のうち、事業再編・事業統合に伴う中小企業者等の統合等に関する取り組み(以下、「PMI(Post Merger Integration)」という。)に要する経費の一部を補助する事業として、本公募要領においては、PMI推進枠おける「PMI専門家活用類型」(以下、「本補助事業」という。)について定める。
補助率と上限額
本補助金の補助率と上限額は以下のとおりです。支援枠や取り組み内容によって金額が分かれているため、自社の計画に応じて確認が必要です。
◼︎ 補助率
補助対象経費の1/2以内
◼︎ 補助上限額
150万円
◼︎ 内訳・支援枠
PMI専門家活用類型(単独申請): 補助率1/2以内、補助下限額50万円、補助上限額150万円、廃業費併用時は+300万円で合計450万円; PMI専門家活用類型(同時申請): 補助率1/2以内、補助下限額50万円、補助上限額150万円(廃業費併用は専門家活用枠で申請)
対象となる事業者
本補助金の対象となる事業者は以下のとおりです。申請前に自社が要件を満たしているかご確認ください。
- 日本国内に拠点又は居住地を置き、日本国内で事業を営む者であること
- 法人の場合は、申請時点で設立登記および3期分の決算及び申告が完了していること
- 個人事業主は、「個人事業の開業届出書」並びに「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出した日付から5年が経過していること
- 地域経済に貢献している中小企業者等であること
- 製造業その他:資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人事業主
- 卸売業:資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人事業主
- 小売業:資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人事業主
- サービス業:資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人事業主
- 事業再編・事業統合に伴い経営資源を譲り受けた後にPMIを実施することによりディスシナジーの解消やコストシナジーの創出が見込まれること
- 単独申請の場合:事業再編・事業統合に伴い経営資源を譲り受けた後(M&Aのクロージング後)、1年以内に実施するPMIであること
- PMIを実施する専門家は、金融機関(関連会社を含む)又は弁護士、会計士、税理士、中小企業診断士、経営コンサルタント等が実施するものであること
- 承継者と被承継者の間でM&A成立前に承継者によるデュー・ディリジェンス(DD)が実施されていること
対象経費
補助対象となる経費は以下のとおりです。公募要領で定める範囲を超える経費は対象外となるため、申請時には個別に確認してください。
- 謝金:補助対象事業を実施するために必要な謝金として、専門家等に支払われる経費(士業及び大学博士・教授等に限る、数時間程度の知識教授を想定)
- 旅費:補助対象事業を実施するために必要な国内出張及び海外出張に係る経費(交通費、宿泊費)の実費(甲地方宿泊料10,900円/泊、乙地方9,800円/泊が上限)
- 委託費:PMI時に専門家(中小企業者とPMI業務に係る契約を締結する者)に支払う経費(統合計画・100日プランの策定、中期経営計画・事業計画等の修正、PMO支援、定款・登記変更、人事・給与制度見直し、会計処理方針統一、税務処理統一、PPA、各種契約承継フォロー、業務ワークフロー・KPI見直し、TSA締結、ITシステム統合等)
◼︎ 対象外となる経費・事項
- 経営資源引継ぎ以外の目的で行われたコンサルティング費用
- 本補助金に関する書類作成代行費用
- ファイナンシャルアドバイザー(FA)・仲介費用(専門家活用枠での申請対象)
- 説明会の開催や個別面談の実施、主要な取引先への対応等、信頼関係構築に関わる専門家支援
- 対象士業との顧問契約の範囲内での対応等、明確にPMIに係る支援・費用の内容が特定できない費用
- 公序良俗に反する事業
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条において規定される各営業
- 国(独立行政法人を含む)の他の補助金、助成金等を活用する事業
申請スケジュール
受付期間は2026-02-27から2026-04-03までです。事業実施期間は2026年5月(下旬予定)から12か月以内を想定となっています。スケジュールがタイトなため、検討中の事業者は早めに準備を始めることをおすすめします。
審査のポイント
審査では、以下の観点から事業計画が評価されます。申請書の記載にあたっては、これらの項目を意識して具体的な内容を盛り込むことが重要です。
- ◼︎ PMIの目的・必要性:事業再編・事業統合後のPMI実施の目的が明確で、なぜそのPMIが必要なのかが具体的に示されているかを審査する。M&Aの背景や統合による効果、課題解決の必要性が論理的に説明されており、PMI実施の妥当性が認められるかを評価する。
- ◼︎ PMI集中実施期の計画:補助事業期間内に適切にPMIに取り組まれるものであることを審査する。実施スケジュールが現実的で具体的であり、補助事業期間内での完了可能性が高いか、必要な体制が整っているか、専門家の活用方法が適切かを評価する。
- ◼︎ PMIによる効果(シナジー)・地域経済への影響:PMI実施によるディスシナジーの解消やコストシナジーの創出効果が具体的に見込まれ、定量的・定性的な効果が明確に示されているかを審査する。地域の雇用維持・創出や地域経済への波及効果が期待でき、地域貢献度が高いかを評価する。
- ◼︎ PMI実現による成長の見込み:PMI実施により中長期的な企業成長が見込まれ、自社の事業環境や外部環境を踏まえた成長戦略が具体的に示されているかを審査する。市場動向や競合状況を考慮した現実的な成長シナリオが描かれており、持続的な発展の可能性があるかを評価する。
- ◼︎ 財務内容が健全であること:申請者の財務状況が健全で、PMI実施やその後の事業継続に必要な財務基盤が確保されているかを審査する。直近の決算書類や財務指標から、過度な債務負担がなく、安定的な事業運営が可能と判断できるかを評価する。
◼︎ 加点項目
以下のいずれかに該当する事業者は、審査において加点の対象となります。
- 「中小企業の会計に関する基本要領」又は「中小企業の会計に関する指針」の適用を受けている場合(顧問会計専門家印のあるチェックリストの提出が必要)
- 公募申請時に有効な期間における「経営力向上計画」の認定、「経営革新計画」の承認又は「先端設備等導入計画」の認定書を受けている場合(認定書および申請書類の提出が必要)
- 公募申請時点で「地域未来牽引企業」である場合(地域未来牽引企業の選定証の提出が必要)
- 公募申請時点で中小企業基本法等の小規模企業者である場合(直近期の法人事業概況説明書又は所得税青色申告決算書の写し、従業員数の記載が必要)
- 公募申請時点で「(連携)事業継続力強化計画」の認定を受けている場合(認定書および申請書類の提出が必要)
- ワーク・ライフ・バランス等の推進の取り組みを実施している場合(えるぼし認定、くるみん認定、基準適合一般事業主認定通知書等の提出が必要)
- 公募申請時点で「健康経営優良法人」である場合(認定証の提出が必要)
- 公募申請時点で「サイバーセキュリティお助け隊サービス」を利用している場合(利用が確認できる書類の提出が必要)
- 事業化状況報告時までに事業場内最低賃金+30円以上の賃上げを実施予定であり、従業員に表明している場合(賃金引上げ計画の誓約書、従業員への表明書、直近の給与支払期間における賃金台帳の写しの提出が必要)
- 米国の追加関税措置により大きな影響を受ける場合(追加関税措置の影響を受けている内容を具体的に入力することが必要)
活用にあたっての注意点
本補助金を活用するにあたり、特に留意しておきたいポイントは以下のとおりです。
- 申請時の補助額が補助下限額を下回る申請(補助対象経費に1/2をかけた金額が50万円を下回る申請)は受け付けない
- 同時申請の場合において、補助事業期間中にM&A(経営資源引継ぎ)が実現しない場合は、PMI専門家活用に係る補助対象経費は補助対象外となる
- 当公募回の公募申請期日時点でM&Aのクロージング日から1年を超えていないことが単独申請の要件
- 補助対象経費は1件(案件・発注)50万円以上(税抜)の支払いを要するものについては、原則として2者以上から見積(相見積)を取得することが必須
- 委託費、システム利用料及び保険料については、1件50万円未満の場合においても、原則として相見積を取得することが必須
- 補助対象経費の支払いは、補助事業者名義による「補助事業者の口座からの銀行振込」又は「クレジットカード1回払い」のみ対象
- 廃業・再チャレンジ枠と併用にて申請する場合は、PMI推進枠専門家活用類型として申請すること
- 申請時点から過去18ヵ月の間において、中小企業庁が所管する補助金に申請した内容について、賃上げ加点の要件等が未達成の場合、正当な理由が認められない限り大幅に減点される
- GビズIDプライムアカウントの取得が必要(申請・発行には1週間から2週間程度、混雑時は3週間程度必要)
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